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目次

  • 1、はじめに
  • 2、NFT(ノンファンジブルトークン)
  • 3、セキュリティトークン

1、はじめに

前回は、決済手段として利用できるブロックチェーン上のトークンが金融規制法においてどのように位置づけられるのかについて整理した。後編では、ノンファンジブルトークン(NFT)及びセキュリティトークンの金融規制法上の性質について検討する。

2、NFT(ノンファンジブルトークン)

NFTとは個々のトークンに固有の値を持たせた代替性のないブロックチェーン上のトークンをいう。現時点ではERC721規格に則って実装されるものが著名である。このようなNFTは資金決済法上の仮想通貨に該当するのであろうか。

ここで、2号仮想通貨の定義を思い出そう。2号仮想通貨とは、不特定の者を相手方として1号仮想通貨(ビットコイン、イーサ等)と相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるものをいう。NFTは通常、ビットコイン、イーサその他の1号仮想通貨と相互に交換可能である。そうすると、NFTも仮想通貨に当たってしまうのであろうか。

しかし、個性があって代替性のないトークンが「仮想通貨」というのはどうもしっくりこない。そもそも、資金決済法の目的は「資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引、仮想通貨の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性及び利便性の向上に資すること」(同法1条)である。このように同法はあくまで資金決済に関するサービスを規制する法である。確かに2号仮想通貨は、直接的に決済に利用されないものを包摂しているが、あくまで、1号仮想通貨を通じて、1号仮想通貨と同等の支払・決済手段としての機能を果たす可能性があることを踏まえて、規定されたものである。これらの目的・趣旨からすると、個性があり代替性のない、いわばモノとしての性質を有するトークンまでを仮想通貨として規制する必要性及び実益は乏しいと考えられる。また、条文解釈としては、固有の性質をもち、その一つしか存在しないトークンについては、不特定の者を相手方として交換されるものではないので、2号仮想通貨の定義には該当しないと解釈することにも合理性があろう。

但し、筆者は、ERC721規格等に基づいてNFTを生成すれば、常に仮想通貨に当たらないとまでは考えていない。なぜなら、NFTは確かに各トークンに固有の値を持たせるものの、それぞれが極めて近似した性質を待たせることも可能であるからである。例えば1万円札であっても、それぞれの紙幣には固有の番号が振られている。しかし、通常の使用においては、それぞれが違う性質のものであるとしては捉えられていない。これらは社会通念上、同一種類のものとしてとらえられている。このように考えていくと、NFTが仮想通貨に該当しないと考えられるのは、各NFTに社会通念上(つまり常識で考えて)他と区別される個性があることが前提になるものと思われる。

3、セキュリティトークン

いわゆるセキュリティトークンについては、概念が不明確であり、一概に論じることはできない。ここでは、とりあえず、トークンの機能・性質が、金融商品取引法上の有価証券の定義に該当するものを指すこととする。

ここで日本法上問題となるのは、このトークンが、金融商品取引法の有価証券規制と資金決済法上の仮想通貨規制の両方の適用を受けるかそれとも前者の規制のみを受けるかということである。形式論的には、金融商品取引法に該当することによって、そのまま資金決済法の適用が除外されるという関係にはないので、セキュリティトークンであっても資金決済法の適用はあり得るということになる。したがって、現時点の形式的な法解釈に基づけば、セキュリティトークンについては両法の規制を併せて受けることになりそうである(もちろん、商品設計において、仮想通貨の定義に当たらないようなセキュリティトークンにすれば、仮想通貨には当たらないのは当然である)。

もっとも、利用者保護、マネロン対策などの重要な法目的についてみれば、資金決済法よりも金融商品取引法においてより厳しいレベルで規制がなされており、金融商品取引法の規制に加えて資金決済法の規制を付加する意義は乏しい。むしろ、法適用の不明確さから、証券分野におけるブロックチェーン技術の活用を阻害する弊害のほうが大きいと考えられる(たとえば、このようなトークンは金融商品取引業登録と仮想通貨交換業登録の両方を有していない限り扱えない)。このような観点からすれば、セキュリティトークンについては、法改正も視野に入れて、適用法令の整理を行うことが望ましいと考えられる。

なお、クロスボーダーの文脈で考えた場合、セキュリティトークンは、それが取引される各国において、それぞれ証券規制の対象となるか否かを、確認する必要がある点には留意が必要である。

 

(注)本稿における意見や解釈に関する記述は、著者の個人的な見解によるものであり、所属する法律事務所の見解を示すものではない。

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この記事を書いた人:河合健

河合健

アンダーソン・毛利・友常事務所パートナー。フィンテック分野の法務に精通し、仮想通貨取引所等の仮想通貨関連企業及び大手金融機関等に対して、仮想通貨(仮想通貨交換業登録、仮想通貨ファンド、ICO等)及びブロックチェーンに関するリーガルアドバイスを多数行う。 事業者団体である日本仮想通貨事業者協会の顧問弁護士。 また、大手金融機関においてデリバティブ取引等の市場業務に約15年間従事した経験を踏まえ、金融規制法、デリバティブ取引、仕組商品、金融商品関連紛争等に関し、金融実務に即したアドバイスを行うことを得意とする。

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